育毛剤と発毛剤の違いを知って有効活用

薄毛が気になってきたときに、頼りたいと思うものに育毛剤と発毛剤があります。用語が違うということは、役割も効き目も異なっているのに、その違いが理解できない人が少なからずいます。
その違いがわからないために、自分に合ったものを選ぶことができず、お金と時間をかけた割には思ったような効果が得られなかったという人も少なくないのです。私も自毛植毛手術を決断する前、違いもわからずに育毛剤や発毛剤を使っていました。

そこで、今回改めて、その違いを調べてみました。

発毛剤の成分の理解度

育毛剤と発毛剤の違いの理解の度合いについて、アンファーが調査を行っています。調査の対象としたのは20〜69歳の男性500人で、薄毛や抜け毛の悩みの対処法としての育毛剤や発毛剤の理解度に関する調査を実施したものです。
調査手法はインターネットリサーチ調査で、2020年8月4日から6日に行われました。 調査対象のうち育毛剤や発毛剤を使用している人は101人でした。

薄毛や抜け毛に実際に悩んだ際に必要な知識として、「ヘアサイクルに直接働きかけて発毛効果を発揮すると思う成分をお選びください」という質問に対して、全体ではミノキシジルと回答した人は約25%でしたが、育毛剤や発毛剤を使用している人では約50%がミノキシジルと回答しています。
以前に行われた同様の調査では、育毛剤や発毛剤を使用している人でミノキシジルと回答している人は約30%であったことから、発毛剤に使われる成分の中でミノキシジルの人気が高まっていることがわかります。
育毛剤や発毛剤を使用している人で発毛効果を発揮する成分の順位を見ると、ミノキシジルに次いで、ピリドキシン塩酢塩、エチニルエストラジオール、トコフェロール酢酸エステル、グリチルリチン酸、メントールとなっていました。
次に育毛剤と発毛剤の効果・効能を理解している人を確認するための質問がされていますが、正しく理解しているのは6%ほどでした。また、発毛剤に壮年性脱毛症への発毛効果があると回答しているのは20%で、まだまだ発毛剤について正しく理解している人は少ないという結果でした。

育毛剤は医薬部外品、発毛剤は医薬品の外用剤と分類されています。アンファーが以前に実施した別の調査では育毛剤と発毛剤の違いを正しく理解している人は10%ほどでしかなくて、90%もの人が誤って理解しているとのことです。
医薬品は病気の治療や予防を目的としたもので、厚生労働省によって配合されている有効成分の効果が認められているものです。
医薬部外品は厚生労働省によって許可された有効成分が一定の濃度で配合されたもので、治療ではなく、防止や衛生などを目的に製造されたものを指しています。毛髪関係では育毛や除毛などの美容目的で使用されるもので、作用が緩和なものとされています。

育毛剤と発毛剤の決定的な違い

育毛剤は、今現在、生えている毛髪の維持にアプローチするもので、将来に起こる薄毛や抜け毛を予防して、毛髪の健康を維持するために使うものです。
頭皮の血行を促したり、頭皮に栄養を与えたりすることによって、健康的な毛髪を育てる、まさに育毛のために使われ、毛髪のコシやハリを保って、抜けにくい毛髪にすることが一つの目的です。
もう一つはフケやかゆみといった頭皮トラブルの予防にも使われます。 対象となるのは健常な人、つまり病気に分類される状態ではない人ということになります。このことからいうと、AGA(壮年性脱毛症や男性型脱毛症)の人が使用しても、効果は期待できないということになります。

これに対して発毛剤は、今は生えていない毛髪を生やして、毛量を増やすという薄毛の治療に使われるものです。ミノキシジルを配合している発毛剤の場合には、壮年性脱毛症の人の成長期の毛乳頭細胞に直接的に働きかけて毛母細胞を活性化させて、ヘアサイクルの乱れを正常に戻す働きがあります。これによって、すでに生えている毛髪は丈夫にすると同時に、新しく毛髪を生やして、それを育てるという働きもあります。
このことを理解すると、育毛剤よりも発毛剤のほうに効果があると感じて、薄毛に悩んでいる人は育毛剤を使っても意味がないようにも感じるかもしれません。

ここで自毛植毛を選択した人が、養毛剤と育毛剤の、どちらを使うべきかについて考えることにします。自毛植毛は後頭部か側頭部の毛髪を、前頭部や頭頂部の薄毛が進行した部位に移植するものです。移植しても、以前と同じように薄毛になることを心配する向きもあるようですが、前頭部・頭頂部と後頭部・側頭部はホルモンの影響が異なっているので、薄毛になる心配はありません。
AGAは、男性ホルモンのテストステロンが5α還元酵素によって変換されたDHT(ジヒドロテストステロン)によって起こるもので、前頭部・頭頂部は影響を受けやすくなっています。それに対して後頭部・側頭部はDHTの影響を受けにくく、移植された毛包はDHTの影響を受けにくい状態が継続するので、薄毛になることはないということです。

自毛植毛によって気になっていた部分の毛髪のヘアサイクルが正常に保たれるようになるわけですが、加齢や環境などの影響をまったく受けないわけではありません。そこで、毛髪のケアを考える場合には、発毛剤は必要がなく、将来のことが気になる場合には育毛剤を使用するだけでよいということができます。  

参考)
育毛剤や発毛剤の理解度に関する調査
https://www.angfa.jp/news/?p=4676