コロナ禍での抜け毛の実態

国内で新型コロナウイルス感染症にかかった人は740万人を超え(4月半ば現在)、全国民(約1億2550万人)のうち17人に1人が感染確認されたことになります。ここまで感染確認者が増えると、感染後の後遺症も他人事として見ているわけにはいかなくなります。後遺症としては、免疫力の低下や炎症反応などが主に注目されているところですが、絶対に忘れてはいけないのは抜け毛です。

コロナ脱毛は184万人もいる

抜け毛は、多くの病気の後遺症の中に入っていることで、一般には毛髪に栄養が届きにくくなり、これが抜け毛の原因と考えられています。
後遺症としての抜け毛は、コロナ感染の初期段階では症状が出た人に多く見られましたが、感染確認者が増えるにつれて無症状の人にも抜け毛が後遺症として多く現れるようになりました。
その割合ですが、国立国際医療研究センターが実施したコロナ感染後遺症の追跡調査では、約4人に1人の割合で脱毛症が起こっていて、発症の2か月後に脱毛症が強く現れることが確認されています。感染確認者が17人に1人で、そのうちの4人に1人ということは、68人に1人、約184万人がコロナ脱毛症になった計算となります。
これだけ多くなると、これまでの薄毛対策では通じなくなり、画期的な対策法である自毛植毛を選択する人が増えてくるのは当然のことといえます。

急にヘアサイクルの休止期に移行

病気になって脱毛がみられるのは、何も後遺症だけではなくて、病気になったストレスやショック、運動不足による血流低下などの影響もあります。また、コロナ禍で生活環境が大きく変化しただけでもストレスが強くなり、それが毛髪の状態に悪影響を与えることも当然のように考えられることです。
コロナ脱毛の原因は明らかではないとしても、脱毛による薄毛の分類としては急性休止期脱毛とされます。急性休止期脱毛は、さまざまな原因によって起こる急性の脱毛で、数か月で急激に頭部全体の毛髪が薄くなっていくものです。それだけに不安を強く感じさせて、それがストレスとなって抜け毛を増やすことにもなります。ただ、急性だけに、原因が取り除かれると改善するのが通常のことです。
ヘアサイクルでは、毛髪の成長が止まって、抜けるまでの期間が休止期で、通常は全体の毛髪の10%ほどが休止期になるとされています。ところが、なんらかの原因によって急激に休止期に移行して、抜けるのを待つだけの毛髪が増えると、約3か月とされる休止期に一気に脱毛が増えることになります。
コロナ脱毛では、発症の2か月後に後遺症として起こるというのは、この休止期の特性と合致しています。

後遺症の脱毛は長く続きやすい

国立国際医療研究センターでは、新型コロナ感染後の後遺症について調査を行っています。その結果を見ると、回答者の84.4%は軽症者で、そのうち女性のほうが後遺症として倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が起こっていました。
重症者に比べると軽症者では後遺症は出にくい印象があるものの、実際には感染から半年を経過しても後遺症が続いていることが確認されています。
毛髪の状態には食事による栄養状態も大きく影響してきます。コロナ感染後の後遺症には味覚障害、嗅覚障害が起こりやすく、約23%に味覚障害か嗅覚障害、その両方の障害が残っています。退院後の1か月までの改善率を見ると、味覚障害は85%、嗅覚障害は60%となっていました。味覚障害と嗅覚障害が改善して、食欲が以前の状態に戻り、栄養が十分に補給できるようにならないと、毛髪の状態も戻りにくいということです。
味覚障害と嗅覚障害は若者ほど出やすく、やせ型の人ほど出現しやすいこともわかりました。また、後遺症がある人の約4人に1人は半年を経ても後遺症が続いているので、時間が経過すれば自然に回復するはず、と安心しているわけにはいかなくなります。

自毛植毛のためにも元気な毛髪の維持が大切

新型コロナウイルス感染症は次々に変異をして、感染力も症状も、後遺症についても変化をしています。今は脱毛までいかないとしても、いつ感染するかわからない、再感染することもある、ワクチンを接種していれば大丈夫とはいえないという状況では、画期的な薄毛対策である自毛植毛について今から情報収集を進めておくことが大切です。
また、自毛植毛は自分の元気な毛髪を移植するものであるだけに、ヘアサイクルの乱れによって脱毛が全体に進むことがないように、栄養摂取にも心がけたいものです。十分な栄養摂取は免疫力を高めて、感染リスクを抑えるためにも大切なことです。

コロナ感染後の後遺症リスク
https://www.ncgm.go.jp/pressrelease/2021/20211008.html