ストレスが毛髪に影響する理由

 親和クリニック新宿院で受けた自毛植毛手術で薄毛の悩みは克服したものの、これからのことを考えると脱毛は抑えていきたいものです。東京の生活はストレスが高いので、ストレスが毛髪に及ぼす影響には注意したいものです。 この関係に新たな媒介が注目をされていますので、ここで紹介したいと思います。  

ストレスホルモンのコルチゾールの働き

 ストレスは毛髪に影響を与えることは以前から言われていて、その理由も数多く検討が進められてきましたが、新たな理由としてあげられているのはストレスホルモンとして知られるコルチゾールの存在です。

 コルチゾールは副腎皮質から分泌されているステロイドホルモンで、ストレスがかかると10〜20分で2〜3倍にも増加することから、ストレスのバイオマーカー(目安となる生理学的指標)とされています。コルチゾールは肝臓での糖新生、筋肉でのタンパク質合成、脂肪細胞の中での脂肪の分解、炎症や免疫の抑制など健康維持のための重要なホルモンとなっています。

 また、コルチゾールは免疫系、中枢神経系、代謝系などにさまざまな生理学的な作用があり、長期間にわたって過剰に分泌されると脳の海馬を萎縮させたり、うつ症状を悪化させたりすることが報告されています。海馬は、大脳辺縁系にあって、記憶や空間学習能力に関わる器官となっています。

 ストレスによって生じる身体的変化、精神的変化はコルチゾールによって引き起こされていると考えられているのです。

 毛髪とコルチゾールとの関係ですが、血液中のコルチゾールは数か月をかけて毛髪に蓄積されていきます。毛髪の80%ほどはタンパク質で構成されていますが、その約70%がケラチンタンパク質、約10%が非ケラチンタンパク質で占められています。ケラチンが生成されるときにコルチゾールが取り込まれていきます。毛髪は1か月で約1cm伸びるので、根元から3cmの部分を切り取って測定すると、ここ3か月のコルチゾールの量を測定することができます。

 精神的、肉体的なストレスが強いほどコルチゾールが多くなるわけですが、薄毛の人で毛髪に含まれるコルチゾールを測定すると、一般の人に比べて多いことが確認されていて、その量は失業した人に匹敵するといわれています。

 コルチゾールは毛髪の脱色やカラーリングによって量が減ることがあり、洗髪のしすぎでケラチンが損傷してコルチゾールが抜けて、うまく評価できないこともあります。

 コルチゾールは糖新生のためのホルモンであると先に触れましたが、糖新生というのは脂肪やタンパク質を肝臓の中で糖に変換させる働きのことで、すぐにエネルギーとなる糖(ブドウ糖)を増やして積極的に活動できるようにする仕組みとなっています。コルチゾールが多く分泌して糖新生が進むと、血液中のタンパク質の量が減り、毛髪の育成のために必要なタンパク質が減ることも、ストレスが薄毛に影響をする理由の一つだと考えられているのです。  

コルチゾールと薄毛の関係

 30〜40代の男性の毛髪の状態とコルチゾールの関係について調べた研究では、コルチゾール濃度が高い人ほど薄毛の傾向があり、中でも後頭部の毛髪の直径が細くなっていることが確かめられています。コルチゾール濃度が高いほど直径は細くなり、濃度が3倍になると毛髪は6割ほどの細さになっていました。

 さらに、コルチゾール濃度が高いほど頭皮の毛穴から生える毛髪の本数が少なくなっていました。1つの毛穴から生える本数は通常は2〜3本となっていますが、年齢に比例して減っていくことから、コルチゾール濃度が高くなる過剰なストレスは年齢に比べて薄毛になりやすいことが指摘されています。

 ストレスを感じると頭が硬くなると言われることがありますが、硬くなるのは頭皮で、頭皮が硬くなると血流が低下して、薄毛になりやすいことは以前から言われていました。頭皮が硬くなると1つの毛穴から生える本数が減ることも指摘されていることから、ストレスが生じてコルチゾールが増えることは血管を萎縮させて、血流が低下することから、毛根細胞の活性が低下して、これが薄毛に影響を与えているようです。

 ストレスを解消するために運動がすすめられることがあります。運動は血流を促進して、代謝が進むことから毛髪にはよさそうですが、それを期待して疲労が蓄積するほどの運動をすると逆効果にもなりかねません。マラソンなどの強度の持久力運動ではコルチゾールの分泌量が増え、また筋肉に強い負荷をかけるウエイトトレーニングによってもコルチゾールの分泌量は増えていきます。毛髪の育成によい運動は、適度な負荷がかかるウォーキングなどの有酸素運動だとされています。

参考)

毛髪とコルチゾールの関係(労働安全衛生総合研究所)

https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/mail_mag/2016/87-column-2.html

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